「景気後退」と聞くと、GDPや日銀短観などの難しい経済指標を思い浮かべる人も多いでしょう。でも、ちょっと待ってください。世の中には、そんな堅苦しいデータではなく、私たちの身近な行動から景気の行方を探る「おもしろ指数」と呼ばれるユニークなデータが存在します。今回は、そんな“ちょっと変わった”経済の見方をご紹介します。
まずは有名な「ヘムライン指数」。これはスカートの丈と景気の関係を示したもので、景気が良いとスカートは短くなり、景気が悪いと長くなるという説です。実際、1920年代の好景気にはミニスカートが流行し、不況期にはロングスカートが増えたという事例があります。もちろん絶対的なものではありませんが、ファッション業界の動きは人々の消費マインドと密接に関わっているため、意外とあなどれない指数です。
次に紹介したいのは「口紅指数」。不景気になると、高価なものは買えなくなるけれど、ちょっとした贅沢として手頃な価格の口紅が売れる、という現象に注目したものです。2001年のアメリカ同時多発テロ後やリーマンショック時にも、化粧品の売上が伸びたといわれています。このような“プチ贅沢”に消費が流れる動きも、景気後退の兆候の一つかもしれません。
「ラーメン指数」も注目です。景気が悪化すると外食回数が減る一方で、安価で満足感のあるラーメン店の利用が増えるといわれています。特に立ち食いそばや牛丼チェーンの売上が伸びる時期は、家計の引き締めムードを感じさせます。
そして意外なのが「離婚率指数」。景気が良いと経済的に自立できる人が増え、離婚がしやすくなるという見方があります。逆に不況下では、経済的な理由で離婚を踏みとどまるケースが増えることもあるようです。人間関係の変化までも、経済の波に左右されるのですね。
他にも、「メンズ下着指数」や「ビール指数」、「ペットフード消費量」など、数えきれないほどの“おもしろ指数”が存在します。どれも、私たちの生活の中の「ちょっとした変化」から経済の空気を読み取るためのヒントです。
景気後退は専門家だけが察知するものではありません。日常の小さな変化に目を向ければ、意外と「お金の流れ」や「人々の心理」が見えてくるもの。堅苦しい指標に疲れたら、たまにはこうした“おもしろ指数”で経済の風向きを感じてみてはいかがでしょうか？
